マリア
第24章 鎮魂曲
智「しょ……くん…?」
「あんま、自分を責めんなよ?」
智「だって…」
「たまたま、あっちゃいけない偶然が重なっただけなんだよ!?」
智「でも……っ」
「…自分を責めても礼音は帰ってこないんだから…」
堰を切ったように、
俺の胸に顔を埋めて、
智はわんわんと泣きはじめた。
ごめん、智。
俺、もしかしたら、って、
一瞬でもお前のこと疑ってしまった。
泣いている智を見てたら、自分が恥ずかしくなって、
それを誤魔化すように、抱きしめる腕に力を込めた。
一頻り泣いて、
体を離そうとする智をまた引き寄せる。
智「もう…平気だよ?」
顔を上げた智と目が合った。
濡れたままの睫毛に縁取られた潤んだ智の目。
その目を見た時、俺の中で何かが弾けとぶような感じがして、
智「あ……」
気づいた時には、智の顔を引き寄せ無我夢中でキスしてた。
「…ご、ごめん!俺、こんな時に…」
俯き無言で首を振る智。
智「…いいの。そんなことは。そんなことより…」
そして、その顔のまま今度は、
智からキスしてきた。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える