マリア
第24章 鎮魂曲
半年前、距離をおこう、と別れた俺たちなのに、
今、こうしてキスしてる。
智「ふっ……うっ…んっ…」
その、同じ屋根の下には智の両親と、亡くなった妹の礼音がいる。
こんなこと、ダメだ、って分かってる。
なのに、やめない。
……やめられない。
……やめたくない。
智「翔くん…」
…引き込まれていく、その目に、
…引き摺り込まれていく、その声に。
智「…やめないで。」
再び吸い寄せられるように重なる唇。
智「お願い…。」
「智、俺……」
智「ちょっと待ってて?」
俺から離れると、智は静かにドアの鍵を閉めた。
背を向けたまま動かない智を俺は、
背中から抱きしめた。
智「ふふっ。翔くんてば、あったかい…」
背中から回した俺の腕に重ねられる智の手。
その手が、体の中心の温度を一気に上げてゆく。
智「抱いて……?」
無理矢理押し込めていたものが今、
大きな音を立て弾け飛んだ。
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