マリア
第7章 恋慕曲
その人影に見覚えがあった俺は、必死で記憶の糸を手繰り寄せていた。
うーん、何処だったかなあ?
あれ、そう言えば、今、何時だ?
スマホをポケットから引っ張り出す。
ふて寝したり、ぐだぐたしているうちにいつの間に放課後。
コンビニで弁当でも買って帰るか…
と、考えていた矢先、
あ…思い出した!あれ…
あの子、翔ちゃんの…
例の、双子の片割れくんじゃん?
しばらく観察していると、
校門の前を行来きしたり、校舎を見上げるように佇んだり、
まるで、好きな人を待ち伏せるみたいにその場から動こうとはしなかった。
…翔ちゃんでも待ってんのかな?
時おり、こちらを切なそうな目で見る顔に、
目が離せなくなっていた。
へぇ…
あの子、よく見るとなかなか可愛いじゃん?
初めて会った時は、翔ちゃんの背中に隠れちゃって、顔がよく見れなかったけど、
翔ちゃんが俺に会わせたがらなかった理由がよく分かる。
…あの子にヤらして?って言ったらどんな顔するかな?
あんな可愛い顔してんだから、イク時の顔なんか、さぞかしエロ可愛いんだろうなあ。
あー、でも、その前に翔ちゃんに殺されるかも…?
などと、不埒なことを思い描いては打ち消しながら、
階段を駆け降りた。
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