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笑い、滴り、装い、眠る。

第9章 ずっとあなたが好きだった。



和「で?ゆっくりまったり出来るから、って?」


雅「なんで海外とかじゃないの?」


潤「近場の温泉で済ませる、って……らしい、っていえばらしいけどさ?」



口々に言う3人の言葉なんてどこ吹く風。



「俺は智くんと一緒なら別に近くの公園でも…」



ねぇ?と、智くんの腕に俺の腕を絡めながら顔を見合わせた。



和「熟年夫婦の散歩かよ?」


智「あっ、和!お前、そんなこと言うと土産買ってこねえからな?」


和「どうせ温泉饅頭かなんかでしょ?」



期待してないから?と、缶ビールを一口流し込んだ。



「でも、さ、いつか落ち着いたら世界一周とかしたいね?って話もしてるんだ?」



おーっ?と、3人が同時にどよめく。



和「そうなったらいよいよ第一線を退いた老夫婦じゃない?」


雅「いいなあ?俺らも行きたいね?」



と、雅紀は和の肩を抱いた。



和「…すいません。俺、先約があるんで。」



雅紀の腕をすり抜け、和は潤の隣へと移動した。



潤「……そういうワケで。すいませんね?」



和の肩に腕を回しながら潤がウインクした。



雅「えっ?う、ウソだろ?」



と、肩を落とした雅紀の肩は、俺以上に撫でっていた。



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