笑い、滴り、装い、眠る。
第10章 Moon Light
翔くんは黙ったまましばらく俺の顔を見てたけど、ふう、と大きくため息を付きメガネを外した。
翔「……うん。」
さっきまで険しかった表情がウソみたいに泣きそうな顔になって唇を噛み締めた。
「やっぱ…俺のせい?」
見開かれた瞳が暫く泳いで、パタリと俺らの足元に落ちた。
翔「……幸せだ、って思い込んでただけなのかな?って?」
「は?」
翔「だって…いつだって智くんは俺のワガママを聞いてくれるし、家のことだってしてくれるし。」
「そんなん当たり前じゃん?好きで一緒に住んでんだし?」
翔「……仕方なく…とかじゃないよね?」
俺は翔くんの言ってることに対して今さら、という気持ちと、急にそんなことを言い出した真意を考えていた。
翔「あの時、相葉くんと松潤のこと、見てたよね?」
「あ……う、うん。それが何か?」
付き合ってることをカミングアウトした二人が微笑ましくて見てただけだけど?
翔「羨ましいのかな?って。」
「へっ?」
翔「もしかしたら俺といても物足りないのかな?って……。」
そりゃあ、確かに二人の仲睦まじい姿を見たら自分も幸せな気持ちになったのは確かだけど、
だからと言って、翔くんとの生活が物足りない、とか なんて思ったことない。
むしろ、こんなに毎日が楽しくていいのか疑問にさえ思うぐらいだ。
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