笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
あれからさらに数年後。
俺は得意の英語を生かして外資系の商社に就職、
大学入学を期に実家を出た智くんと暮らし始めた。
が…
「……遅い。」
急用が出来た、との連絡がきて、俺は智くんの手料理ではなくコンビニ弁当をモソモソと口に運んでいた。
料理が苦手だった俺は、不本意…?いや、幸運にも智くんにご飯を作ってもらっていて、
こんな風に智くんがいない日は、ヘタに自分が作った不味い飯よりも、レンジでチンしてすぐ食えるまだマシなコンビニ弁当を食べていた。
中々箸が進まない中、玄関でドアが開く音がして、ただいま、と智くんの声が聞こえた。
小躍りしたくなるぐらい、逸る気持ちを押さえながらコンビニ弁当を口に運んでた。
智「ただいまぁ♪」
智くんは俺の姿を見つけるとまるで猫みたいに抱きつき擦り寄ってきた。
「お……遅すぎじゃない?」
俺は緩む口元を何とか引き結び声音を落とした。
智「ごめんなさい。楽しすぎてつい……。」
タバコやら香水やら、智くんの体から漂う、色んな香りに俺の中で何かが音を立ててキレた。
「じゃ、俺も楽しませてもらってもいいかな?」
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