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恋人は王子様…!

第13章 勇敢な恋人 sideM

あのスキャンダル?発覚後、一週間経っても落ち着かなかった

どこにいても監視されてる気がする

「潤、いっそ彼女のこと公表した方がいいんじゃない?」
「潤がハッキリしないから勝手な妄想されてんぞ」
「…知ってる」
風俗の女の子と関係をもってるだの、通りすがりの女性を襲っただの、いろいろ言われる。

「くそ…」

いっそ、潔くカズのこと公表するか?
いや、カズをこんな好奇の目に晒せない。
「…潤」
気づくと教室には俺と一人の女の子しかいなかった
「えーっと…誰だっけ」
「ひどぉい、ミスコンで会ったじゃん」
「え、あ、もしかして準ミスの…?」
「覚えててくれて嬉しい!」
嫌な予感がして、立ち上がり距離をあける。
「ねぇ、今困ってるでしょ?」
「何に?」
「とぼけないでよ。あの女の子、わたしってことにしていいよ?」
何言ってるんだ、この人…
「そしたら、噂もおさまるよ?」
「いや、そういうのいいから」
「てかさ、潤の彼女はこんなに潤がピンチなのに何も助けないなんて変だよ」
「俺が何もするなって言ってるから」
「ほんとに好きなら、好きな人を守りたいって思うはずでしょ?」

「…!」

突然、教室の扉が開いた。
ダボダボのパーカーにロングスカートの華奢な女の子が入ってくる。
被ったフードからふわふわの黒髪が流れ出ていた
「…」
その子は俺に駆け寄ってきて抱きついてきた

「…!」

抱きしめられた瞬間わかった
「誰、その子」
「…俺の彼女」
「うそ…」
「てことだから、じゃあ」
細い手首を掴んでキャンパスを横切っていく
すれ違う人がざわめいている

「松本くんの彼女だ」
「ほんとにいたんだ」
「てか、ちょー色白い。細い」
「もうちょっと顔見えないかな、うつむいててよくわかんない」
「彼女めっちゃ耳赤い、可愛い」

振り向くとカズの耳は真っ赤だった
「ごめん、俺の家までガマンして」
校門を出て、すぐにタクシーを拾った

「カズ、すまん」

「ばか」

「ごめん」

「そんなに大騒ぎになってるって言ってくれたら、もっと早くこうしたのに」
「ごめん」
「一人で抱え込まないでよ」
「なんで、あそこがわかったの」
「…潤くんに会いたくなって、潤くんの時間割見たから」

よくできた恋人だ
…もう、離せない

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