
恋人は王子様…!
第19章 恋人は王子様…! sideN
「ねぇ、松本潤、今フリーみたいだよ!」
「☆大の王子様!」
「デートしてみたいよね」
他校のキャンパスにまで名前を轟かせている男が、俺の恋人。
前はそんな会話を聞いて、潤くんは別世界だなーって優越感を感じたり、劣等感をおぼえたり、どこかで「俺のもの!」って誇示したかったり…妙に意識してしまってた。
でも、もうそんなこと、感じない。
小さな…いや、大きな騒動を乗り越えて、潤くんが俺を好きでいてくれる事実だけを大切にしようと思えたんだ。
きゃーっと黄色い歓声があがる。
あ、来たな。
ざわめきの方を見やると、うちの王子様が歩いてきた。
今日もキマってるなー。
女の子たちの視線や歓声、携帯のシャッター音を気にもとめず、こちらに一直線で歩いてくる潤くん。
「ごめん、待った?」
「全然」
「じゃあ行こうか」
「うん」
妙な優越感と劣等感がなくなってから、潤くんと堂々と外で歩けるようになった
「カズ、今日どうする?」
「んー、学食でラーメンフェアやってるんですよね。ちょっと食べたい」
「ん、じゃ学食いこ」
潤くんがうちの学食に入っていき、また黄色い声。
「カズ、席あった!」
嬉しそうに荷物を置いて振り返る潤くん。
やっぱり、あなたは☆大のおしゃれカフェテラスの方が似合うよ
でも、楽しそうに笑ってるあなたが愛しくて
「何にしようかなー、お味噌ラーメンかな」
一挙一動、一言一句が可愛い
「んー、でも一番食べたいのはカズだなぁ」
「あなた、今公共の場だから!」
平静につっこみながら、胸はうるさく鳴り響く。
「これ、食べたらさ、ちょっと買い物しようよ」
「…なんのですか?」
「ほら、うちに来る時、いちいちお泊りセット持ってくるの大変でしょ?歯ブラシとかコップとかうちに置いとくカズのもの買おうよ」
「///」
「歯ブラシと、コップとお箸とか?あと、なんだろ」
「へ、部屋着は?」
お揃いとか着てみたいんですけど
「え?それは俺の服着ればよくね?」
…彼シャツ!
ご馳走様です。
晴れて半同棲かな
恋人は王子様。
それは遠いようで…いつもそばにいるかけがえのない存在。
