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無表情の宇野くん

第34章 宇野くんと五味さん②。

三年生の私と宇野くんと五味さんは、もう一人の男子を合わせて、同じ班です。


入り口から一番離れた窓側の、教卓から一番離れた席である。


後ろから二番目に宇野くんと五味さんが座っているわけなのだが、この二人のことを後ろから見ていると面白いのだ。


宇野くんがシャーペンを落として、優しい五味さんはそれを当然のごとく拾うわけで、それで手と手が触れ合ったら、宇野くんは歯がガタガタ言いながら無表情でお辞儀するのだ。


面白すぎるぞ宇野くん。


給食の時間に、私と宇野くんは険悪な仲ではないが、宇野くんは嫌いな食べ物を私に渡してくるので、それを見て優しい五味さんは、


「私にも頂戴?」


と、天使のような微笑みを浮かべるのだ。


私が男だったら恋しそうだけれども、すでに恋してしまっている宇野くんは、五味さんに給食を全部渡していた。


太ってもいないくせによく食べる五味さんは、喜んでいた。


私にだけ態度酷くね?


私にもプリンとか頂戴よ。

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