
夏夜の煙
第1章 1人で吸うか、2人で吸うか
「…………はあ??」
ダメだ、話が読めない。
先生は、はてなマークを浮かべる私に向かって、深いため息をつきながら言う。
「いや、俺だってさぁ…来たくねぇっつってる生徒を引きずってまで来させなくていいと思ってんだよ?」
「はあ。」
いや、じゃあこんなとこまで来ないでよ。
ってか引き止めないでよ。
ここでまた深いため息をひとつ。
「でもなぁ?センセー、この整った容姿と仕事ぶりと外面の良さでさぁ、教頭に目ぇつけられちゃって?さんざん悪い噂流されたわけ。」
その時を思い出したのか、マジでぶっ殺してぇ…関わってくんなやクソ教頭……とかなんとかボソボソと愚痴を挟む。
「そんなこと言ってるから嫌われるんじゃないんですか。」
「外面は良いっつったろ?校長にも好かれちゃってさぁ…それが裏目に出たんだよ、マジだりぃ。」
ずっと思ってたけど、口悪いなこの人。
仮にも教師だろうに。
その教頭も性格の悪さを嗅ぎわけたんじゃないの?
喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、相槌を打つ。
ここでまたまた大きくため息をつく先生。
「それで、昨日のことですよ。職員会議でオマエを進級させなきゃ減給とか言われちまってさぁ。」
