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スパダリは1日にして為らず!

第1章 それは何かの間違いです




「うわ…綺麗になってる!」

リビングに入るなり、早川が感嘆の声を上げた。
正直、これで感激されるのは恥ずかしいレベルなのに。

「すいません。俺ではこれが限界です」
「いやいや、充分だよ。だってほら、床に横になれる」

え、ポイントそこ?

ごろん、とフローリングに寝そべる早川は満足そうな笑顔だけれど。

「ホントありがとう。疲れたでしょ?」
「ああ、まぁ、はい」

疲れたと言えば疲れたけれど、それは肉体的と言うよりも精神的な方だ。
慣れない場所の家事は、勝手が分からないのとどこまでやって良いのかが難し過ぎた。

「ハルのお守りもね、大変だったよね」

未だに悠季に抱っこされたままの遙斗にもう一度「おいで」と床から寝そべったまま手を伸ばすが、これも却下されてしまう。

さすがに2度断られ、落ち込みを見せる早川に悠季は苦笑しながら遙斗を降ろした。そして早川の隣に遙斗を抱えながら腰を降ろす。


「全然。ハルくん、凄くいい子でしたよ。お手伝いもしてくれたし」
「ハルが?今までしたことないのに」
「ホントですか?お…いや、僕が助かったくらいでしたけど」
「いやいや、今まで誰が来ても隅っこでじっとしてたって報告しか受けてないし。…懐くだけでもビックリなのに手伝いまでなんて」


今日の遙斗を見ている限り、俄には信じられなかった。だって遙斗の方から「おにいちゃん!」とくっついてきていたから。

けれども、それが本当であれどうであれ、悠季にとって嬉しくないモノではない。


「それはそうと!」
身軽な動作で起き上がった早川が、スタスタとキッチンのテーブルに向かう。
急にどうしたんだろうかと、思わず遙斗と悠季は目を合わせた。

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