スパダリは1日にして為らず!
第2章 1つ1つ
…何となく、早川の様子からして24時間時給を出すと言い兼ねない気がする。
いや、いっそ大雑把に計算して1日これくらい、なんてのもあり得るだろう。
夜も遙斗と眠る事から、ちゃっかりしてたり、図々しいタイプなら遠慮なくそれに甘んじるだろうが、悠季は生憎とそこは生真面目だ。
家事もまともに出来なくて、自分のしてる事と言えば遙斗の相手くらいで、それだって付きっきりと言う訳じゃない。
破格の時給でさえ恐縮ものなのに、しかも食費も光熱費も負担ゼロ。
まだ始まったばかりだからこそ、早いうちにきちんとしたい。
ー…今日、帰ってきたらちゃんと話そう。
話して、こうなった以上はきちんと仕事しよう。その方が精神的にも楽だ。
出来る出来ないは、真面目にやるかやらないかでも多少は違うはずだ。
悠季は1人大きく頷いて、とりあえず遙斗を起こさないで済む仕事を探し始めた。
キッチンは何もしてないからやる事がない。
掃除機は起こしてしまうのが間違いないから論外。
「あ、もしかして」そう呟いた悠季が向かったのは洗濯機のある脱衣場だった。
「やる事見っけ」
昨日、風呂を借りた時に溜まった洗濯物に気付いていた。
早川が夜中や早朝に洗濯機を回す事は考えないだろう予想はやっぱり簡単に的中だ。
洗濯くらいなら自分にも出来る。
だって、適当に放り込んで洗剤入れてスイッチさえ入れれば、後は勝手に洗濯機がやってくれるのだ。
悠季は嬉々として次々にかごに入った洗濯物を放り込み、横に置いてある洗剤を手に取った。
そして、後ろの説明通りにキャップ1杯にオマケにもう1杯足して中に注ぎ
「スイッチオーン!」
思わず声に出しながらスタートボタンを押した。
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