スパダリは1日にして為らず!
第1章 それは何かの間違いです
「まさか…」
急いで履歴と求人誌の番号を見比べ、悠季は一気に血の気が引くのを感じた。
「1と7が違う…っ」
最後の1桁が、まさかの番号間違いを犯していたのだ。
と言う事は、今掛けた番号の相手は宅配会社ではなく全くの別人と言う事になる。
やだもうやっちゃったよ俺…っ!!、と頭を抱えるもすぐに「待てよ」と先程の会話を思い出してみた。
番号間違いではあるが、相手は面接を引き受けた。それはこの間違い電話の相手先も仕事を募集している事に他ならないだろう。
もしかしたら更に好い条件の仕事かもしれないし、話だけでも聞いてみるのもアリなのではないか。
条件が合わなければ、適当にごまかして辞退すればいい。
電話の感じでは、ヤバい印象は受けなかった。
そう考えた悠季は急いで唯一持っているリクルートスーツに着替えて、住所のメモを片手にアパートを飛び出した。
予想通り、指定された住所は会社ではなく住宅街の1画にあった。
こんな普通の一軒家で面接とは、一体何の仕事なのだろうか。
これまで極々一般的なフリーターならではの仕事しかしていない悠季には全くと言って良い位思い付かない。
万が一ヤバい仕事だったら……
そんな怖い考えが浮かばないでもなかったが、ここまで来たら行くしかないと腹を括り、悠季は門にあるチャイムを「えいっ」と人差し指で押した。
ほどなくして、「はい」電話の主と思われる声がインターホンから聞こえてきた。
「あの、先ほどお電話した早川です」
ドキドキしながら悠季が答えると「ああ、ちょっと待って」と一方的にインターホンを切られてしまった。
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