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スパダリは1日にして為らず!

第1章 それは何かの間違いです



どんな人が出て来るのだろう。

ドキドキしながらチャイムを押した悠季は、色々と複雑な気持ちでドアが開くのを待った。

声を聞いた限りではそこまでの年齢ではなさそうに思えるけれど。

声だけで判断するならば、かなり美声とも取れるが、さすがに顔まで期待はしないし、そもそも同性だからそこははっきり言ってどうでもいい。

まあ、いくら同性でも顔を付き合わせるならば不細工よりはカッコいいに越した事はないけれど。



やがてガチャリと玄関が開き、悠季が姿勢を改めてる。
最初の挨拶大事!これは面接の鉄則である。


「はじめまして。早川ゆ……え?」

元気良く、だけど煩くない程度の音量で挨拶したが、玄関の中から出て来た予想外の人物に、悠季は思わず言葉を止めてその姿を凝視した。


「こんにちは!おにいちゃん!」

てっきり声の主が出てくると身構えていたのに、悠季の半分程の背丈の、男の子にしては可愛らしい容姿をした子どもが目をキラキラと輝かせて顔を覗かせたからだ。

「え、あれ?…えーと」

「パパ、おでんわちゅうなの。おにいちゃん、めんせつのひとでしょ?」

多分この子は「面接」の意味を知らないだろう。だけど自分がここに来た事の理由はきちんと理解しているようだ。

それにしても、こうして小さな子どもが代わりに出てくると言うのなら、やはりここは会社でもなく、見たままの普通の家に間違いはなさそうだった。

ただ1つ、ホッとしたのは子どもがいると言う意味でヤバい仕事ではなさそうな気がした事だ。


悠季が何か言うより早く、男の子は「早く早く」と手を伸ばして一生懸命腕を引っ張った。

その仕草に何か初対面から懐かれてると感じるのは気のせいだろうか。

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