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好きだって気づいたとき

第10章 中学最後の夏休み

机に座って宿題をだしてみたけど、やっぱやる気が出ない。
立ち上がり、ベッドにドサッとうつ伏せになり、そのままウトウトとしてしまった。


「あっ、誰か来た」


玄関に向かうと何度も何度もインターフォンがなる。


「何度もなんだよ・・・はぁーい。お待ちください」


鍵を外し、ドアを開けると勢いよく誰かが勢いよくひいってきた。


「うわっ、ビックリした。
何だ、遼太か」

「知哉・・・」


思い切り俺を抱きしめた。


「どうしたんだよ」

「どうしたじゃないよ。
電話かけても全然出ないし・・・」

「さっきの電話、遼太だったのか」

「遼太だったのかじゃないよ。
も〜・・・心配かけんなって」

「うん、ごめん」


背中を優しくポンポンとされ、体を離した。


「宿題持ってきたから、一緒にやろうぜ」

「お前から宿題やろうなんて珍しいな」

「早く済ませて、みんなで海に行こうって言ってただろ。
そのためなら俺、頑張るよ」

「俺行けないから、遼太は健人、真斗達と行ってきてよ」


振り向き俺の肩を掴んだ。


「駄目だ。みんなで行くの。
大丈夫だから、そのために頑張るよ・・・ねっ」

「・・・うん、頑張ろ」


部屋に入り、宿題を始めた。


「あ〜、ダメダメ」


大の字に寝転がる遼太。


「ちょっ、ちょっと休憩」

「まだ30分くらいしか経ってないじゃん」

「俺には無理だ」

「ほら、もう少し頑張るよ。
頑張ったら昼にチャーハンでも作ってやるから」

「知哉のチャーハン?食べる食べる。
じゃあもうちょい頑張ってみるか」

「げんきんなやつだな」

「・・・いつもの友哉だ」


俺達はお昼まで黙々と宿題を進めていった。







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