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井上真緒編

第2章 2

仲間「どうだ、そこの現場は」
真緒「ええ。そのうち終わりますよ」
仲間「誰がそんなこと聞いてるんだよ。そんなの当たり前じゃないか。あそこは販売日が決まってるんだ。しっかりやってくれっていってるんだよ」
真緒「やってますよ」
仲間「お前この間、俺が資材を代えるようにいったの、どうした」
真緒「ちゃんと、いいましたよ。現場の責任者の鰐淵さんに」
仲間「ほんとか。それでもきちんと自分で確認しろよ」
真緒「なにをですか」
仲間「だから、代えがきたかどうかだよ」
真緒「きてなかったんですか」
仲間「きたよ」
真緒「だったらよかったじゃないですか」
仲間「よかったじゃないですかじゃないよ。2,3日ほったらかしにされたんだぞ」
真緒「私ちゃんといったのに」
仲間「だから、自分で、確認だけはするんだよ。こっちが確認すれば、向こうだっていい加減にはしないんだから」
真緒「そうですね」
仲間「ほんとうにそう思っているのか」

リフォーム会社は、子会社だったので、親会社の言いなりになる体質があったのだ。指示されれば動いてくれるのだろうが、どこか受け身のところはあった。だから、仲間は、自分で確認しろと真緒にいったのだが、それを真剣に受け止めたようには、仲間には思えなかったのかもしれなかった。仲間は、田中を呼んで、真緒と田中に新しい物件を任せることにしたという話をした。真緒は、4年この仕事してきたが、交渉からリフォームまで全部任されると言うのは初めてだった。



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