れい☆さんのレビュー一覧

  • [評価] ★★★★★

    夢の綻びは無音の闇
    声を 想いを
    黒衣に隠して連れ去り放つ…

    脩斗もかつてキラキラと夢を描く子供であるのと同時に、無力な子供だったのだ、と改めて感じました…

    けれど崩れゆく家庭に対してどこか醒めた目で見つめるさまは後の脩斗を思わせますよね

    姉ふたり
    母親はフランス人とのハーフ
    開業医をめざした父親
    この家庭環境の設定が完全であるゆえの脆さを映していることに唸ります

    ひとり残された父親へ思いをめぐらせる脩斗のやさしさに胸を疼かせながら脩斗ヒストリーの続きを待ちたいと思います

    更新ありがとうございます!
  • [評価] ★★★★★

    そこだけ
    別の時間が流れているような
    セピア色のフィルターごしに見ているような
    奇妙なふたり…


    台所の水道水、ちゃぶ台、百六十センチ、小さな輝く目…
    おやじさんの輪郭をひとつひとつ浮かび上がらせる設定に唸ります
    そして、色々としか言わない脩斗に無理にでも語らせようとするやさしさ
    私、おやじさんのファンになってしまいました!

    「現実と一枚層がずれているような
    夢の中にいるような不思議な感覚
    それはひりつく胸の痛みを鈍化させ
    むしろ穏やかだ」
    脩斗がおやじさんに心を開いた様が綴られたこの秀逸な表現に彼の話を聴く準備をしました
    さあ、話してごらん…

    更新ありがとうございます!

  • [評価] ★★★★★

    その出会いは偶然か
    その出会いは、運命か


    いったい何が修斗の身に起きたのだろう…
    老人のありきたりな朝の営みとそこに重なる脩斗の目覚めと曖昧な記憶の描写に翻弄され不安が掻き立てられました

    それはサッカーの申し子のような名前の脩斗に影を落とす何かに違いない
    そう思うとこの和田真治という飄々とした老人との出会いが脩斗に新たな運命をもたらすのだろうかと興味がふつふつと湧いてきます

    この展開の妙は禁兄ドラマチックの系譜だなあと唸りました

    読みながら脩斗のあれこれを思い出し想像を膨らませています
    脩斗の性格は如何にして作られたのか…
    続きが楽しみです

    更新ありがとうございます!
  • [評価] ★★★★★

    世界が無条件で美しく見える時
    彼は
    まだ世界を知らなかった
    流れる時間は
    彼をどこへ連れて行くのか…


    脩斗14才…
    向かうところ敵なし、の性格はそのままにキラキラした時間の中過ごしている少年は青春そのものを体現していて、頭の中に記憶されているあの脩斗と比べてしまいました
    それも有望なサッカー少年
    人は一足飛びに大人にはならない…

    けれど、ごく当たり前に思える家族の中で医者である父親の存在がとても気になりますね

    そして一転したような脩斗の描写で終わった今日、これから描かれる物語に胸がさわいでいます
    ここはいったい…?
    脩斗になにが…?

    更新ありがとうございます!
  • [評価] ★★★★★

    檻の中の鳥は
    その目に何を映すのか
    何を思って鳴くのか
    解き放たれ
    高みへ羽ばたく日は いつか…


    本編の『禁断兄妹』が完結し、禁兄ロスの続いていた日々に朗報がもたらされた今日…
    脩斗と由奈の物語が始まったことがただただ嬉しく、逸る気持ちを抑えながら読みました

    外伝…甘美な響き
    ドラマチックな扉の詩
    ワインボトルにキスマーク…カッコいい由奈

    ああ、これだ…この世界観だ…!
    一気に惹き込まれました

    脩斗をとりまく不穏な状況が仄めかされるなか、一緒にいられればそれでいい、わけではないふたりと、その後ではなく始まりの物語
    また楽しみができました
    ありがとうございます!
  • [評価] ★★★★★

    わかち難い魂が
    時を超え
    時に叶い
    愛を交わしとけ合う今
    天使の打ち鳴らす鐘の音が
    空から降りそそぐ
    ハレルヤ…


    「死が二人を分かつまで、じゃない。死が二人を分かつとしても、俺は萌を永遠に愛することを誓うよ」
    あの海での誓いが死を超えた永遠にまで昇華した夜…
    心のままに求め合い、そして柊と萌が指輪をはめ合うシーンに胸がいっぱいになりました

    禁兄と共に過ぎた7年
    どの場面もドラマチックで美しく、柊や萌を始めとするキャストたちが目の前で繰り広げるドラマに息をのむばかりだった時間
    忘れません
    最高の物語をありがとうございました!

    完結おめでとうございます!!
    でも、やっぱり、少し淋しいです…
  • [評価] ★★★★★

    流されて流されて
    時の川を小舟がひとつ
    熱く熱く
    愛し合う二人をのせて
    ただ ゆらゆらと雪のなか…


    まるで溺れて岸辺にたどり着いたようだ…
    達した余韻のなか呆然としている萌をみて思いました
    そう、自ら飛び込んで柊に溺れたのですよね

    それにしても、sideを変えて柊の目に映る萌のなんと魅力的なことか
    冒頭のモノローグに心が揺さぶられます
    『明日世界が終わっても後悔しないように
    この刹那
    あなたを抱こう』
    の言葉に光をまとう柊と萌が見えました
    萌をあなたと呼ぶのですね…

    激しくとも柊は優しい
    乱れても萌は清い
    そんな二人の夜のつづきに酔いたいと想いをはせます

    更新ありがとうございます!
  • [評価] ★★★★★

    ふるふると
    震えるばかりの花を
    熱情の赤色に染めたのは誰…?
    それはあなた
    と、花が歌い 彼の命を包みこむ
    したたる蜜を交わし合う


    ー大人になったらしてもいいって言ってたじゃない
    言いましたね、たしかに…
    可愛い萌の言葉に頷きながら慌てる柊を見てしまいました
    想像を超える萌の本領発揮でしょうか
    けれどすぐに態勢を立て直した柊による一緒への導き…
    この流れと今だからこそのシーンに魅せられます

    大胆でありながら繊細、淫らでありながら美しい官能の描写は禁兄の醍醐味
    掉尾を飾るに相応しいラブシーンをしののめ様の筆にいざなわれ堪能しています
    さてこの続きは…

    更新ありがとうございます!
  • [評価] ★★★★★

    少女が大人になるように
    夢も熟すものならば
    今ふたりの夜は
    どれほどの芳香を放っていることか…

    責める柊、乱される萌
    そんな二人にやさしくできないかも…、の名シーンの数々を思い出していました
    翌朝語り合った夢の岸辺に今いるのですよね
    感慨深いのと同時に禁忌の関係から解き放たれ愛し合う様はあの時と同じようでまるで違うとも思うのです

    『萌に泣かされちゃったから‥‥俺も萌をいっぱい鳴かせたい‥‥』
    『危ういはざまの愛撫に 息も苦しいほどに翻弄されて 鳴かされて』
    呼び合うようなこの表現はしののめ節のまさに聞かせどころ!
    そして萌の大胆な行動の続きに想像をめぐらせます

    更新ありがとうございます!
  • [評価] ★★★★★

    その涙は
    心の堰を越えあふれたものか…
    その涙は
    ぬぐわれる手を待ち続けていたのか…

    心のとげごと愛してると語るほど萌は大人になった…
    そのことに激しく胸を揺すられます
    真の強さとは闇を抜けた先で手にできるものなのかもしれませんね
    そしてふたりが憂いなく愛を交わすためには柊が寂しさをさらけ出すことが必要だと、萌の母性に思いをはせるのです

    「ずっと俺のそばにいて。俺を独りにしないでくれ‥‥」
    長い長い柊の孤独の終焉
    泣かない柊の零す涙に息をのみました

    心かさなり柊の王者復権となった今、スモールステップなど助走にすぎなかった証しの展開に期待が高まります

    更新ありがとうございます!
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