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~初恋~

第53章 伝えること

しばらくして那奈は落ち着きを取り戻した



服を整えて周兄ちゃんの前に座った




『周兄ちゃん…那奈は…那奈はね…』



周兄ちゃんに伝えなきゃ…



「言わないで…まだ…言わないでくれないか…」



俯いたままの周兄ちゃんが那奈の言葉を遮ってそう言った



えっ…?


「日曜日、12時の便で向こうに行くんだ

これは那奈のチケット…


こんな資格ないことも困らせてることも

那奈の答えは決まってるってこともわかってる…


だけど…もし少しでも可能性があるなら

空港で待ってるから…」



周兄ちゃんはテーブルにチケットを置いて


「ごめんな…」


そう言って帰って行った





チケット……





那奈はただ


チケットを


見つめていた…

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