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ひねくれショタと変態大学生の平和的日常

第7章 それぞれの過去 二

隼人side


俺は一般的、とは言えない環境で育った。

いつも俺のまわりには大勢の大人達が付き、俺を守っていた。いや、俺からすればあれは只の監視だ……。

そうやって俺の日常は進んでいた。

そんな一部隔離されたような空間のなかで俺は次第に心を閉ざすようになった。

そんななか、一番楽しかったのはものを覚えることだった。それだけは誰も裏切らないし誰も俺を縛り付けない。

そう思っていた……。

けどそんな訳はなく。それがやがて周囲からの期待にみちあふれた
ものに変わるのは簡単だった。

『あの子は自分から進んで勉強をするなんていい子ねぇ』

『嗚呼。本当にいい子だよ。まだ幼稚園児なのに。もうかけ段九九も覚えたんだよ』

ものを覚えることの自由を奪われた俺は、翻心状態となった。言われるがままに、与えられること全てに従った。

けど、そんな生活も幕を降ろす。

当時幼稚園児だった俺は、周りのみんなよりものを覚えていることから、かなり浮いた存在になっていた。いや、実際の理由は俺を守るためにいた大勢の大人達のせいだったと思う。

まあそんな奴と友達になろうと思う馬鹿はいるはずもなく。

幼稚園ではずっと一人で孤立していた。

周りにいる先生達はそんな俺に気をきかせて話し相手になってくれたり、俺に友達を作ろうとしてくれた。けど、結局それは無意味なものだった。

そして、俺は小学校に入り、勉学に励んだ。

勉強をしているときは楽しかった。その課程が全て終了していたものだったとしても楽しかった。

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