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　そのためには、金が要る。金を得るには、家でじっと手をこまねいているわけにはゆかないのだ。
　家を出るに当たり、梨花は兄とも色々相談した。まず昼間、父の世話は誰かに頼むしかないという結論に達した。兄もまた代書屋の仕事を持っており、勤めを休むわけにはゆかないからだ。
　世話を頼むといっても、その日暮らしがやっとの庶民が両班や富豪のように使用人を雇うことなど思いもよらない。が、この件に関しては、隣家の女房が付きっきりというわけにはゆかないけれど、できるだけ気をつけて再々様子を見に来てくれるということで決まった。