
359°
第6章 熱意と決意
最後尾を歩いていた男と目が合った。
男はフンッと鼻を鳴らすと、オレに近づいてきた。
おもむろにズボンのポケットから何かを取り出すと、
「せいぜい頑張りな♪」
そう言いながら、それでオレの頭を小突いた。
それは、ドラムのスティックだった。
「ふざけ…」
「ざけんなっ!!」
瞬間、男の手首が捻りあげられる。
スティックはカランッと音を立てて、床に落ちた。
「いててててっ!」
男の手首を掴んでいたのは、激怒した菅生さんだった。
「スティックの使い方もわからねぇやつは、ドラムをやる資格はねえ!!」
怒鳴りながら、菅生さんは更に男の手首を捻りあげる。
「いててっ…!」
「やめろよ!!」
男の仲間が戻ってきて、2人を引き剥がした。
