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『あいつ泣かしたら、お前殴るで？
そんでもってあいつを奪うからな？
…今はそのために引いたる』

『大丈夫。絶対に手放さない。
泣かせたら…か

別の意味で鳴かしちゃうかも
しれないけど、悲しませないよ？』


俺はあの日の約束を思い出した。

最後まで言うてくれた割には、
梓こんなに泣かしてるやんか。


今やってこんなに泣きそうやのに。
俺はちゃんと約束を守る男やからな。


梓ちゃんが病室を去った時、
俺はあいつに一発かましたった。


泣かしたら殴るって言ったもんな？


「お前…最悪やな。
見損なってんけど」


俺がそう言った時の顔が、今も離れへん。あいつ、梓忘れてるくせにあんなに悲しそうな顔しとったしな。

…きっと記憶無くす前、ホンマに好きやったんやろうな。

無くなっても、感覚的に覚えてるんかもしれへん。