
あいどる君に恋煩い
第5章 やきもち
「あ、ごめん……… 口汚しちゃった…… ぺってしていいよ?」
そういってしゃがんで私の口をポケットティッシュで優しく拭った。
さっきまであんなにドSだったのにいきなり優しくなった……というより、いつもの祐斗に戻った気がした。
「う、ううん。大丈夫。…それより、わたしの方こそごめんなさい。ファン失格だったよね…… アイドルとこっそり会って、しかも今もこうやって怒らせちゃって……」
「……うん。ファン失格。」
分かってはいても、改めて言われるとやっぱりショックだった。
「ご、ごめんねっ… もうファンやめて迷惑かけないようにするねっ…!!!!」
私は必死で作り笑いをして祐斗にそう告げた。
そう、アイドルとこっそり会ってしかもなんとなく意識しちゃって。
しかも自分が大好きで応援してるはずのアイドルに迷惑をかけるなんて。
自分はどれだけ単純でバカだったんだろうと思うと涙が出てくる。
「………うっ……ひっく」
堪えてるつもりなのに涙は次々に落ちてゆく。
泣いてるのなんてバレバレなのに私は必死に隠そうとして下を向いた。
ぎゅっ…………
泣いていたらいきなり体が心地よい暖かさで抱きしめられた。
