あなたが消えない
第7章 完全に堕ちた
私はまた、101号室の前に立つ。
インターホンを押す指が、躊躇うように震えていた。
あんな事されたのに。
でも…だけど…。
やっぱり引き返そう。
私は振り返ると、
「人の家の前で何してるんですか?」
「えっ…?」
「怪しいなぁ、全く」
仕事帰りなのか、寒そうにタバコをくわえて、ポケットに手を突っ込んで私を睨み付ける永津さん。
「僕に何か用事でも?」
「あの、あの…」
「はっきりしない人だなぁ」
今日の永津さんは妙に余裕がなく、苛立っていた。
「聞きたい事があって」
「年末は、仕事忙しいんですよ。疲れてるんで、さっさと言って下さい」
とっさに出た私の言葉。
「永津さん、奥さんいつ戻ってくるんですか?」
「はぁ?」
けだるそうに話していたのが、表情も態度も一転して変わり、物凄い勢いで私を睨んだ。
「…気になるんですか?」
「あなた、結局のところ寂しいんでしょ?だから私に変な事を…」
「違いますよ」
「寂しいから、私たち夫婦を羨んでいるんじゃないんですか?」
「羨む?バカげてる」
バカだなんて、ひどい。
「正直言ってあなたを見てると、ムラムラするんですよ。誘ってるのは、遠山さんの方でしょ!」
はっ?
「今もほら、僕が何か言う度に、そう言う目で見るでしょ?抱いて欲しいって感じで!」
永津さんはまた大きな声で、わざと言う。
やだ、やめて!
って、何で私がそんな言葉で恥じなきゃならないの?
インターホンを押す指が、躊躇うように震えていた。
あんな事されたのに。
でも…だけど…。
やっぱり引き返そう。
私は振り返ると、
「人の家の前で何してるんですか?」
「えっ…?」
「怪しいなぁ、全く」
仕事帰りなのか、寒そうにタバコをくわえて、ポケットに手を突っ込んで私を睨み付ける永津さん。
「僕に何か用事でも?」
「あの、あの…」
「はっきりしない人だなぁ」
今日の永津さんは妙に余裕がなく、苛立っていた。
「聞きたい事があって」
「年末は、仕事忙しいんですよ。疲れてるんで、さっさと言って下さい」
とっさに出た私の言葉。
「永津さん、奥さんいつ戻ってくるんですか?」
「はぁ?」
けだるそうに話していたのが、表情も態度も一転して変わり、物凄い勢いで私を睨んだ。
「…気になるんですか?」
「あなた、結局のところ寂しいんでしょ?だから私に変な事を…」
「違いますよ」
「寂しいから、私たち夫婦を羨んでいるんじゃないんですか?」
「羨む?バカげてる」
バカだなんて、ひどい。
「正直言ってあなたを見てると、ムラムラするんですよ。誘ってるのは、遠山さんの方でしょ!」
はっ?
「今もほら、僕が何か言う度に、そう言う目で見るでしょ?抱いて欲しいって感じで!」
永津さんはまた大きな声で、わざと言う。
やだ、やめて!
って、何で私がそんな言葉で恥じなきゃならないの?