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あなたが消えない

第7章 完全に堕ちた

冷えきった玄関なのに、二人の熱い吐息で寒ささえ感じない。

無我夢中で、身体を重ね合わせた。

非常識で、無礼で、みっともないくらい衝動的で、見境いなく感じ合った。

どこで聞いたのか、永津さんは私の名前を低い声で、甘く何度も囁く。

「…翼…つばさ…ツバサ…」

そんなに何度も呼ばないで。

何度も登り詰めていく。

私を突き落としたいのだろうか。

背中に手を回すだけでは不安で、私は肩から首に手を回してキスを求める。

いやらしく声を出さずに喘ぐ。

「…はっ…はっ…はっ…」

狂おしく乱れて、それでも見境なく感じ合う。

「…なっ…ながっ…」

名前を呼びたいのに、悶えて呼べないでいると、また耳元で低い声で囁かれた。

「しょう…でいい…」

私はそう言われて、すぐさま名前を呼ぶ。

「…翔…しょう…ショウ…」

何度も何度も、自分のモノみたいに。

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