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紅蓮の月~ゆめや~

第9章 第三話 【流星】 一

 それでいて、藤原北家の嫡流であり、関白師輔の子息という立場もあいまって、内裏に仕える女房たちにも人気があった。また坊っちゃん育ちというか、育ちの良さが自然と態度にも表れ、陰謀画策渦巻く政(まつりごと)の世界にありながら、どこか浮世離れした雰囲気を漂わせている。それが女性には特にたまらないというか母性本能をくすぐるのだ。
 後に兼家のこの茫洋とした印象は本人が故意に作り出しているものだと美耶子は知ることになる。

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