紅蓮の月~ゆめや~
第14章 最終話 【薄花桜】 二
その二日後。
小文は店の前を箒で掃いていた。近くにある寺の庭には大きな桜の古樹があり、風に乗って花片が流れてくる。よく他で見かける桜の花よりも色の薄いのが特徴的だ。今もこうして掃除をしていても、花びらがひらひらと地面に舞い落ちる。その光景は、冬に降る雪を彷彿とさせた。この時季は毎朝掃き掃除をしても追いつかないくらいで、夕刻にはもう花びらが薄く積もり、吹き溜まりを作っている。
小文は華やかな色合いの紫地の小袖を身にまとっていた。花の季節に合わせ、裾の方には桜の模様が描き出されている。透き通るような肌の色と派手やかな色合いの小袖がよく似合っており、小文の若さと美貌を際立たせていた。
小文は店の前を箒で掃いていた。近くにある寺の庭には大きな桜の古樹があり、風に乗って花片が流れてくる。よく他で見かける桜の花よりも色の薄いのが特徴的だ。今もこうして掃除をしていても、花びらがひらひらと地面に舞い落ちる。その光景は、冬に降る雪を彷彿とさせた。この時季は毎朝掃き掃除をしても追いつかないくらいで、夕刻にはもう花びらが薄く積もり、吹き溜まりを作っている。
小文は華やかな色合いの紫地の小袖を身にまとっていた。花の季節に合わせ、裾の方には桜の模様が描き出されている。透き通るような肌の色と派手やかな色合いの小袖がよく似合っており、小文の若さと美貌を際立たせていた。