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オレンジkiss

第34章 ☆優しさ

「千秋…あなたは、死んだの!…もう……この世に、"梶原千秋"は存在しない!!」


私は、泣いているお母さんを見ながら、頷いた。


皆もお母さんみたいに…


私なんかのために涙を流しているのだろうか?


そう思うと、胸が苦しかった。


「今、言うのは、あなたに悪いと思ってる…。だけど――…」


お母さんは、話しにくそうに言った。


私は、笑顔で「話して」と言った。


お母さんは、一度頷いてから、口を開いた。


「…あなたが退院したら、日本に戻って、再婚しようと思ってるの」


「いいと思うよ」


そう言うと、お母さんは、私を抱き締めた。


そして、何度も「ありがとう」と言った。

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