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きょうどうせいかつ。

第8章 しかけにんは おどろいた。


勇者は呆れ顔で二人の会話を聞いていた。

正直、どうでもいい。

「なんやおどれ、そんなつまんなそうな顔しなや。しかも女の子の前で。恥ずかしないんか?」

「別に、あなたには関係ありませんよ」

「はあ……。呆れた。そりゃーイザベラちゃん困るわ。あんた、人の話聞こうともしんのな」

クリスはあからさまにため息をついて、勇者をじっと観察した。

「何だよ……」

「つまらん男。人の話を真っ向から否定して。おどれ、自分が一番正しいって思っとるやろ」

「な……っ」

バカにされた。
そう感じた勇者は、クリスを睨み付けた。

「あんたみたいな奴がおるから、戦争っちゅーもんが起こるねん。知らんけど」

うんうん、と、姫が熱心に頷いている。
──こいつ、かなり嫌いだ。

「まあ、一概には言えんけどな、この世界には正しいもんなんてない。その逆も然りや。正しいか間違っているかなんてな、時代と価値観で簡単にコロッとひっくり返る。そんな風に、自分の価値観押し付けてばっかりやったら、生きていけへんで?」

「あんたはどうなんだよ。それは人に価値観押し付けているってことじゃないのか?」

「やから一概には言えへんって言ったやろ。これは説教やわ。オレ、今怒っとんねん」


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