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きょうどうせいかつ。

第1章 ゆうしゃのたびは おわらない。


「つかぬことをお伺いいたしますが、勇者様、お名前は?」

「ブレット、と申します」

「ブレット様、私はエリザベス、イザベラとお呼びください。こちらはダミアン様。よろしくお願いいたしますね」

姫はにっこりと微笑んだ。その美しい微笑みは、ギリシャ彫刻のような、芸術的な美しさを兼ね備えていた。

よくこんな美しい姫を夢中にさせたな。魔王もなかなか侮れない。

勇者はそんなことを思いながら、目の前にある紅茶を一口飲む。

「その紅茶……」

「はい?」

「ダミアン様が用意されたのですよ。美味しいでしょう?」

魔王が入れた紅茶だと思うと、少し複雑な気分になったのだが、紅茶に罪はないし、味は申し分ないので、特に気にしないことにした。

「さて、旅の話をしてくださいませ。私、聞きたくてうずうずしていたんです! 」


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