murder─殺戮編─
第2章 裁きの処刑場へようこそ
「……う、……っ」
軽い痛みの中で、岡崎悠斗(オカザキ ユウト)は目を醒ました。
何度か瞬きを繰り返す内に、騒がしい問答が聞こえてくる。
"おい、此処何処だよ!"
"知らねぇよ!何でこんな所に居るんだ?"
"誘拐?洒落になんないんだけどっ"
"おーい誰か!助けてくれぇ!!"
人が右往左往する気配。
ひたすら壁を叩く音。
まだ意識が鮮明にならない中でどうにか起き上がり、周囲を見渡す。
(何だ此処は………)
何かの建物内だと言う事は分かる。
仄暗いが所々にオレンジ色の照明が照らされているので、真っ暗闇と言う訳では無い。
沢山の人の姿。
声からしても自分と大差無い程の、多分高校生くらいだろう。
状況を読み込もうにも訳が分からな過ぎる。
第一此処は何処で、何故こんな場所に居るのかも悠斗には分からなかった。
もしも誘拐だとしたら何時拐われたのか。
そもそも目覚める前の記憶も無い。
見た所制服を着ている。
つまり、通学中か帰宅途中に拉致された。
逼迫した周りの空気が重く感じられ、どうにか立ち上がり歩く。
壁に手を当てながら一歩、また一歩と。
周到に周りを警戒しながら。
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