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心から

第1章 君にとっての僕

ナゴミは本から視線を外し僕を見つめる。

「良いじゃん、“ナゴミ”。好き」

「お前に好かれても
嬉しくないし」

ナゴミは再び本に視線を戻す。

「なーに読んでんの」

本を人差し指でつつくと
ナゴミは本を
顔が隠れるくらい上に持ち上げ、読み続ける。

「ラノベ」

「何のラノベ?」

「『ウサ耳彼女とネコ耳娘』」

あの窓からナゴミを
神のように崇める女子たちが
無様に思えてくる。

イケメンなだけで
中身はただのヲタクですよ。

「僕には理解出来ない世界ですわ」

僕がそう言うと
思いっ切りデコピンを食らった。

「っって!」

「理解しなくて結構ですわ」

ナゴミはそう吐き捨てると
友達と楽しそうに話す彼女を見つめた。

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