心から
第1章 君にとっての僕
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その日の帰り道。
僕は電車に揺られながら
窓の景色をぼんやりと眺める。
“まだ解んない?”
ナゴミの言葉が脳内を駆け巡る。
『ユメに何かあったのか?』
そう聞くと、
『解んないなら自分で聞けば?』と
返されてしまった。
聞けたら苦労しない。
まず、
何をどう聞けばいいのかすら解らない。
なんだか
『お前、それでもユメの彼氏なの?』
って言われた気がして
苛立ちが募る。
『ユメ。
君と僕って何なの?』
僕は重い溜め息をついた。
静かな車内に
響き渡るとともに
周りから視線を集まる。
やってしまった、
なんて思いながらも
なんとか平然を装った。