君の笑顔
第17章 登山 ~陽介~
「ちょっ、ちょっと休憩してもいい?」
息を切らした、か弱い声で溝口さんが俺と和樹に言った。
「あっご、ごめん、気遣い足りてなくて…」
すっかり溝口さんにでれでれな和樹は溝口さんの傍につく。
そしてしばらく俺たちは茂みの中で休憩した。
「やっぱ空気いいなぁ…ってか、陽介全然疲れてないな!」
和樹はリュックを下ろし、手をいっぱいに広げながらいった。
「あ、うん、俺引っ越す前バリバリ野球やってたから。」
毎日のハードな練習のお陰で俺はちょっとやそっとのことじゃバテない身体になっていた。
「そうなんだぁー!こっちではやらないの?」
溝口さんは近くにあった岩に座りながら言う。
「うん、なんか中途半端な時期だし。高校入ったらまたやるよ。」
中2の秋、引退までもう半年ほどしかない出来上がったチームに入るのはなんか気が進まなかった。