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君の笑顔

第26章 肝試し ~ウラ~

「当たり前。てか前に進んでいいどころじゃない。前に進め。」


そういうと


片野はまた黙ってしまった。


過去からの呪縛から

片野を解き放ちたい…。

この手をずっとひいていきたい。



「ウラの言う通り。私、過去の事にずっと固執してた。」


黙っていた片野は静かに喋りだした。



「もう沢村のことは考えないようにする。あれは素敵な思い出として、私の中にとっておくよ。」


片野はそういって
少し微笑んだように見えた。


おれ、ちょっとはこいつの役に立ってんのかな。


真っ暗でよく見えないけど、
いまきっと、片野はきれいな顔で笑ってんだろうな。

少し、
嬉しくなった。


「がんばっ。」


ただそれだけいうと、



「何か上から目線なのがむかつくなぁ……」


とむくれて片野が言った。

いつも通りな片野にいきなり戻ってたことがおもしろくて俺は笑った。


もうっ
と笑う俺を叩いたと思ったら、前から灯りが見えてきた。


「あ、もう着いちゃったよ。」



あっという間だったな…

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