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君の笑顔

第28章 肝試し ~片野 和泉~

どうして、
ウラは今そんなことを聞くんだろう。



「……ううん。もう二年前くらいかな?手紙が返って来なくて、それっきり。」
自分で言って辛くなった。


「そうなんだ」

ウラはそれだけ言って、私の手をしっかりと握りなおす。


「…忘れたのかな、私のこと。」


声が震える。


もう、沢村優は、
私との思い出も、
私を抱き締めたことも
私とのキスも
“私”自身も

きっと…忘れてしまったのだろう。



「小学校のときの約束なんだからさ、そんなのもう無効だよねっ。」


私は少し自嘲気味に笑った。

自分も同じように忘れればいい。

分かってる。


でも

やっぱり、どこかで私は沢村優を信じている。

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