禁断の果実 ―Forbidden fruits―
第1章 第一章
そこで画面が切り替わり、リンクの中央でうつむいてポーズをとる少年が映し出される。音楽が鳴り始めゆっくりと上げられた顔はヴィヴィとよく似た整った顔(かんばせ)。
『男子シングルのメダリストはクリス篠宮さん――なんとヴィクトリアさんの双子のお兄さん。二卵性双生児ですがよく似ていますね。彼の武器も妹さんと同じく高い柔軟性とジャンプ力。今まで出場したジュニアの大会すべてで、四回転を成功させている素晴らしい才能の持ち主です』
涼しい顔をしてやすやすと四回転ループを飛ぶクリスが映し出され、その後は君が代の流れる表彰式の映像が流れた。
『そこでFキャスではお二人の素顔に迫るべく、都内のホームリンクにお邪魔しました――こんにちは』
『『こんにちは、初めまして』』
凛々しい笑顔のヴィヴィと少し表情の硬いクリスがハモリながら、練習着を着て女子アナのほうへと滑ってくる。
『わあ、本当にお人形さんのようなお二人ですね。今日は色々お二人のお話を聞かせてくださいね』
その後数分それぞれにインタビューする映像が流れ、最後は二人で『三月の世界Jr、応援してください!』と元気よく言って双子の特集は終わった。
リモコンでテレビの電源をオフにして匠海を振り返ると、彼は口元に掌を当てて驚いた表情をしていた。
「私、練習着の時、頭ボサボサだったね~」
おどけてみせたヴィヴィに匠海は無言で首を振る。
「いや、ヴィヴィもクリスも可愛かったし、しっかり受け答えしてた…………っていうか、びっくりした……なんかお前たちがいきなり遠くの人になったみたいで、なんというか――」
そこで言葉を切った匠海の顔を、ヴィヴィは下から覗き込む。
「淋しい――?」
「う~ん、ちょっとね」
眉尻を下げてそう言った兄を目にして、ヴィヴィの胸はキューンと疼いた。
(……………っ! お兄ちゃん、可愛い!)
その気持ちのまま、匠海の広い胸に飛び込む。
「ヴィヴィはどこにも行かないよ? ず~っとお兄ちゃんと一緒にいるんだもん♡」
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