テキストサイズ

赤い印

第15章 壊れる関係。

あぁ、そうだ。
『葵』なんて、存在しない。
車に轢かれて死んでもいない。

あの日、暗い公園で、木の下で、
私が汚れてしまった日に現れた幻影だ。

金髪のかつらを被り、
青い色のカラーコンタクトをし、
声色を変えて話しかけてくれた、
優しい、優しい、私の王子様。

「雄治…どんな、気持ちで…?」
私の目から涙が零れる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ