
先生が教えて。
第19章 *裕太side*
バタンッ!
ドンッ
「クッソ…」
玄関の壁を殴り、じわりと手が痛くなっていくのが分かる。
でも、それより嫉妬と悔しさで一杯になった自分の心の方が痛かった。
幼い頃から一緒に居た愛梨。
付き合って別れて、また出会うことが出来て。
出来ればヨリだって戻したかった。
愛梨が別に俺の事を好きじゃなくても良かった。
これからはまた、ゆっくり好きになってもらえば良いと思って居た。
明るい未来があると信じて。
それほど…、愛梨との絆、幼馴染という立場に溺れて居た自分が馬鹿だった。
愛梨の隣に居て…
愛梨を感じられるのは…
俺だけじゃないんだ。
俺じゃないんだ。
