先生が教えて。
第28章 戻れない事
私が落ち着くと、向かい合って資料室の椅子に机を挟んで座った。
改めて総司を見ると、少し疲れている様な表情をしている。
気のせいかな?
でも、相変わらずの笑みと整えられた黒髪は変わってないしやっぱり総司なんだなぁって思った。
まだ実感できない、総司が私の目の前に居るんだって。
…何から話したら良いんだろう?
「大人っぽくなったな」
「へっ、あっ、うん」
「まさか愛梨が数学の教師になるなんてな…。思ってもなかった。
しかも母校の。」
「この学校に来たのは本当にたまたまで…。私もびっくりして」
「そうか。
愛梨がこの学校に来なきゃ俺達は会わなかったな。」
「その言い方だと、まるで私と会うつもりはなかったみたい」