先生が教えて。
第31章 新たに
「はっ…」
さっきまで余裕な笑みを浮かべていた総司の顔が、いきなり真顔になった。
その場の時間が、止まった気がした。
「馬鹿…、なの、お前…」
総司は片手で自分の顔を覆った。
「本当なのかよそれ…。
お前…、あいつ…幼馴染の奴じゃなくて…
俺がいいわけ?
俺の事…まだ好きなのかよ…」
「総司が…、
迎えに来てくれなかったから…
もう一生会う事はないって思ってた…。
だから総司への気持ちはもう一生心の中にしまって置くしかないと思ってた。
だから私は総司を最後まで信じて待つ事が出来なくて、裕太の優しさに身を委ねてしまった…。
けど、総司はまた私の前に現れて…
また私は総司に恋をした。
総司への気持ちが、
溢れて止まらないの。」
「なんだよそれ…
俺が会いに行ったときは…」
「え?」
「俺、愛梨の高校の卒業式に来てたんだよ…」
「えっ…?」
「そしたら…
あの幼馴染と…」
総司が卒業式に来ていた…?
「俺だって…。
この六年間、ずっと愛梨の事…」
「ねぇ、総司。
教えて、何があったの?
六年前の事、六年間の事、
全部、教えて。
私も話したい事が沢山あるの」
今度はまた、すれ違わない様に。