先生が教えて。
第32章 真実を知る時
もう何度目かの移動。
そして久しぶりの総司の車。
助手席に乗った。
話す事が無かったので、私がさっきから気になっていた事を聞いた。
「総司はさ、この六年間彼女とか居たの?」
「居たよ」
「…」
「ばーか。
んなの今関係ねーだろ。
それより、愛梨の事聞かせろ」
「勉強が大変だった…」
そう、私は教師になるために凄く苦労したのだ。
「お前も教師だもんな…。
て、俺ら一緒の職場だな」
「な、なんて呼べは良いんだろう…」
「神田先生って呼べよ。ちゃんと」
またかぁ…。
「か、神田先生…?」
「なんかエロい」
「えっ、エロっ!?」
「ほら、運転してんだから静かにしとけ」
クスっと笑う総司。
六年前とは少し違う横顔。
大人っぽくなった?
いや、老けたのかな?
総司ももう30歳。
彼女…きっといたんだろうな…