ドリームSEXカフェ
第30章 ラスト・フィルム
『…でしょうね…魂だけのご来店ですから…』
オーナーは当たり前のように答えた
カウンターのなかで
コーヒー豆を厳選するオーナーは人ではない男性に何の違和感もなく対応する
「…何で死んだか…
思い出せないんですよね…
思い出そうとすると…頭が痛くなって…」
カタン…
オーナーは男性の前に氷が入った水のグラスを差し出した
「…思い出さないと…ダメなんですかね…?」
男性は頭を抱えて苦しそうにする
オーナーは心配そうに男性を見つめる…
『あの方が…貴方をここへ遣したのなら…
貴方は思い出さないといけないのでしょうね…』
オーナーは…スゥ…と深呼吸をし…豆を置いた
オーナーは、カウンターから出て男性を立つように促した…
『こちらへ…』
「……はい…」
男性はオーナーに続き…席を立った
二人はそのままカフェの奥へ進む…
進む先には…
白くて…大きな…扉があった
「これは…?」
『ここの正式店名は
【ドリームSEXカフェ】
お客様の願望を叶える不思議なカフェ…
人の奥底に潜む欲望、願望…些細な夢を…叶え体感できるカフェ』
扉は…ギギギ…と重い音を立ててゆっくり開いてゆく
「…私の死んだ原因…も、わかりますか?」
『貴方が望むなら…』
男性はゆっくり開く扉の先を見つめた…