あたしは被害者
第7章 そこで見てなさいよ
『あ、も、もしもし』
震えた声で応答する。
『あ、あれ?
笑み……ちゃんかな?
あれ?しのちゃんは?』
桶川の笑った息が
受話器を通して耳に入ってくる。
『えっと……
今、桶川さんから電話かけませんでした?』
『え、かけてないよ?』
『え、うそ……
じゃあ誰か違うひとかな……
このピンクの携帯から
鳴ってたんだけど……』
『本当?
その携帯から鳴ってたんなら
僕以外の人じゃないと
思うなぁ……。
僕としのちゃんの携帯、
機種違うから
電話代高くてねぇ
普段はそのピンクの携帯から
電話してるんだ。』
『そうなんですか~
いいですね!
彼氏との電話専用携帯!』
これでこの携帯が
こいつ専用だということが
桶川情報ということになって
どこでも話せるようになる、
と……。