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それで、また会ってる。

第1章 冷たい手



真面目に提案して夕都の腰に手を添えた。が、
「……俺さぁ、俊紀さんは真顔で何か言う時ほど信用できないんだよね」
「お互い様だろ! もう待たないからな!」
減らず口に痺れを切らして、夕都の性器と自分のものを一緒に掴んで扱き始める。それは強烈な快感だったようで、夕都は抵抗しないどころか更に求めて肩を掴んできた。

「夕都、俺を見て」

肩を揺らしながら瞼を伏せる、彼の手を強く握る。
「俺もお前と一緒に感じてるから」
「……」
夕都は小さく頷いた。
「いいね……」

……それを聞いただけでイきそう。
喜びを顔に出さないよう、夕都は口端を強く結んだ。
好きな人が自分を想ってくれる事がこんなにも嬉しいなんて……今まで何人とも付き合ってるのに知らなかった。

だから俊紀さんって大好き。
知らないことをたくさん教えてくれる。与えてくれるひと。
「ゃ……っ!」
あまりの感じように、目頭の方が熱くなってきていた。
弱い先端の部分を攻められ、喘ぐばかりだ。
もう人が来ないかなんて気にする余裕もない。
フェンスに何度もぶつかり、軋んだ音が響く。
「俊紀さ……っ、もぅ、イク……っ」
「……っ!」
小さく叫んだ後、夕都も俊紀も果てていた。
夕都はしばらく肩で呼吸をしながらフェンスに寄りかかっていたが、どうでもよくなったのか地面に座り込んだ。

「汚れるぞ?」
「もう汚れてるよ。色んな意味で」

自嘲的に笑う彼を見ると、こっちは苦笑してしまう。俺も地面に膝をつけて、彼を抱き寄せた。
「んっ」
まだ呼吸が整っていない夕都の唇を奪って、更にシャツをはだけさせる。
「もっと汚れてみる?」
「……」
「俺はこう見えて綺麗好きだからゴメンだけど。お前が汚れたいって言うなら、いくらでも汚してやる。そんでこれ以上なく汚れたら、今度はキレイに洗い流してやるよ。そこまで面倒見てやるって決めたからな」
愛しいまま口付けを交わし、夕都の瞼に指を這わせた。わずかに滲んだ涙の後をすくいとる様に。

「夕都。好きだ」
「うーん……うん。俺も」

夕都は眼を強く閉じ、視界を黒くした。
これは生殺しだ。嬉しいことは全然慣れない。
夢でも見てんじゃないかと思うぐらい、幸せで仕方なかった。







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