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人魚

第1章 はじまり

人魚は…王子様に本当のことも
剣で刺すこともせず…

愛を貫き
沈黙をついたまま…


蒼く深い海へと
形を変え
消えてしまいました。



本を閉じた
夏生は…深く深く溜め息をつき
背中合わせに座る彼に


『人魚姫ってさ…何度読んでも
都合よく扱われた可哀想な姫よね』と

蒼に話した。


蒼は…『悲しいよな…最後は、泡だもんなぁ…せつないなぁ』と


『でも…夏生好きだよな人魚姫の話』


夏生は 熱い太陽に腕を伸ばし
『すきだよー。なんかねー人魚姫って
悲しすぎてサー』と伸びをしながら
立ち上がった。

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