
いつか…
第8章 :小さなモノ
このとき
パニックになって
しばらくトイレで泣いた
子どもが出来たら
龍とは一緒にいられない
そんなことも考えられなくて
ただ涙が出てきた
トイレから出て龍の袖をつかんで車にもどる
私の様子が明らかに違ってて龍も気がつく
「どうしたん?生理きた?」
どう答えていいかわからなくて
箱に戻した検査薬を龍に渡す
龍の顔色が一瞬でかわるのがわかった
なにも言わずに検査薬をみる龍
何度も箱と小さな窓を見比べる
『ごめんなさい』
その言葉しか出なかった私
検査薬を箱に戻して後ろの席のしたに隠すと
「…考えないようにしよう」
龍はそういった
今でも覚えてる…
はっきりと…
別のコンビニにごはんを買いに行く
このとき…
ふっと龍の横顔をみた
【お腹の子はきっと龍に似てるんだろう】
そう思ってハッとした
【私がこの子守らなきゃ…
この子には誰もいない】
考えは甘いけど…
そう思った
そのあと龍は仕事で
2日間会えなくて…
このときいっぱい考えた
と言うより
お腹の子が大切に思えた
私はきっと龍に「おろして」そう言われたら
おろすほうを選ぶと思っていた
けど…何度か迷っても
最後には"産む"
その答えになる
数日して
龍に考える時間がほしいと言われた
