巡 愛
第4章 珈琲の
「こんなに美味しいのなら、もっと早くに知りたかったわ」
今では1年前までの関係がまるで嘘のように、こんなかわいい嫌味さえ言ってくれるんだ。
「ごめん。……おっと、そろそろ準備しなくちゃ」
「あ、もうこんな時間。あの子、まだ寝てんのかしら、もう!!」
妻は息子の部屋へパタパタと走っていった。
朝食を終えた私は立ち上がって食卓を眺める。
そこには私と妻のコーヒーカップ。
やっぱり私の帰る場所はここで、妻の居るべき場所もここだと実感する。
環奈、私の妻でいてくれてありがとう。
これからも私の側にいてくれるかい?
もう、寂しい思いは決してさせたりしないから。
約束するよ。