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［勇気side］



今にも泣きそうになっているこいつを抱き締めて慰めてやりたかった。

さすがの俺でも優介のやることには同情する。あいつは……歪んでるから仕方なくもあるが。




「千春……」




ゆっくりと手を伸ばすと……




「触らないで！」



わかっていたことだが手を振り払われた。

震えてもいるな……それほどまでに怖かったのかそれとも裏切られたのがショックだったのか……




「今は……触らないでお願い」




「……いやだ」




「わっ……」



そばによって抱き締めてやれば当然のように抵抗してきた。

男と女じゃ力のさがありすぎんのがどうしてわかんないかね……




「主に逆らうな……おとなしくしてろ」




「何が主よっ……勝手に決めて……それに私は勇気を裏切っ」



「裏切られてない」



「っ……」



馬鹿すぎる。

あいつが俺のものに手を出すのは昔からだった。だから千春も手出しされることはわかっていていつかこういうことになって泣きついてくるともわかっていた……。

ま、泣きついてこないがな。


もう少し……俺を頼ってくれてもいいのにな