ふしだらと言わないで
第6章 慰み者の娘 3
「遺品?」
「はい、どうしたらいいか
はかりかねていたのですが…
よかったらご覧になりますか?」
七海が小さな体でジャンプする
美姫はそれに引っ張られる
「七海も見るー!
ママの手紙ー!」
施設の人が持ってきた箱の中には何通もの手紙があった
そのうちの一つを手に取って宛名と中身を拝見する
それは恋する女性の
想いがしたためられた文
送るつもりで書いたのではない
けれど綴らずにはいられなかった双葉の心の宝箱
一文に目が止まる
『私の心はあなたと共に
私の好きはあなたと共に―…』
色褪せない想いの丈
父とは違い、定期的に書きしたためられた手紙の数
「ママねー、この人のこと
好きだったんだって!
でも内緒だって言ってた!
一生、忘れられないって!」
「七海ちゃん…
ママは泣いたりしてなかった…?」
「ううん!
ずっと笑顔だったよ?」
いない
いないんだよ
双葉…あんたがこれを渡したかった相手はもうこの世にいないの
美姫は行き場を無くした二つの手紙を一つに重ねた
もう遅いけど
………わかる?
あんた両想いだったよ…
「あの」
「なんでしょう?」
美姫は七海に聞こえないよう双葉が亡くなった日を尋ねた
美姫は泣き崩れた
こんな偶然があるもんか
やっぱり運命だよ
離れた地で
好き合う人間が
おんなじ日に死んでるなんて
「お姉ちゃんどうしたの?
おなか痛いの?」
美姫は涙を拭いた
「七海ちゃんさえ…よかったら
お姉ちゃんと暮らさない?
だめかな?」
「はい、どうしたらいいか
はかりかねていたのですが…
よかったらご覧になりますか?」
七海が小さな体でジャンプする
美姫はそれに引っ張られる
「七海も見るー!
ママの手紙ー!」
施設の人が持ってきた箱の中には何通もの手紙があった
そのうちの一つを手に取って宛名と中身を拝見する
それは恋する女性の
想いがしたためられた文
送るつもりで書いたのではない
けれど綴らずにはいられなかった双葉の心の宝箱
一文に目が止まる
『私の心はあなたと共に
私の好きはあなたと共に―…』
色褪せない想いの丈
父とは違い、定期的に書きしたためられた手紙の数
「ママねー、この人のこと
好きだったんだって!
でも内緒だって言ってた!
一生、忘れられないって!」
「七海ちゃん…
ママは泣いたりしてなかった…?」
「ううん!
ずっと笑顔だったよ?」
いない
いないんだよ
双葉…あんたがこれを渡したかった相手はもうこの世にいないの
美姫は行き場を無くした二つの手紙を一つに重ねた
もう遅いけど
………わかる?
あんた両想いだったよ…
「あの」
「なんでしょう?」
美姫は七海に聞こえないよう双葉が亡くなった日を尋ねた
美姫は泣き崩れた
こんな偶然があるもんか
やっぱり運命だよ
離れた地で
好き合う人間が
おんなじ日に死んでるなんて
「お姉ちゃんどうしたの?
おなか痛いの?」
美姫は涙を拭いた
「七海ちゃんさえ…よかったら
お姉ちゃんと暮らさない?
だめかな?」